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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

多嚢胞性卵巣症候群とは

多嚢胞性卵巣症候群とは、polycystic ovary syndromeという英語の病名の頭文字をとって、PCOSまたはPCOとも呼ばれる病気です。


卵巣の中の卵胞は、平均して月にひとつずつ成熟し、排卵します。 多嚢胞性卵巣症候群の場合、卵胞が卵巣の中にたくさんできてしまい、その卵胞は成熟しにくくなっていることが多いため、排卵がしにくくなってしまうのです。


また、卵巣の表皮が厚く硬くなってしまうことも多嚢胞性卵巣の特徴です。そのため、もし順調に卵胞が成熟しても卵巣の皮を破れずに排卵が起こらないということもあります。


そして、これらのことが要因で発育しても排卵できない卵胞が次々に卵巣内にたまり、卵巣が腫れて大きくなってしまうこともある病気です。

多嚢胞性卵巣症候群の症状とその原因

最も特徴的な症状は下記の通りです。


  • 月経異常
  • 男性化徴候
  • 肥満
  • 不妊

月経異常について

通常、脳の下垂体からLH(黄体ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)がバランス良く分泌されることで卵の成熟を促し、排卵を起こします。PCOSの人はこのうちLHの分泌が多くなり、FSHとのバランスが乱れて排卵が起こりにくくなります。また、卵巣の皮も厚く硬くなるため、さらに排卵しにくくなってしまうのです。

男性化徴候について

また、卵胞の中では男性ホルモン(テストステロン)が作られ、血液中の男性ホルモンが増加します。その結果、多毛、にきび、低音声など、体の男性化徴候が見られます。しかし欧米と比べるとこれらの出現頻度は低く、日本では男性化徴候をそれほど重視しない傾向があります。(欧米21%、日本2%)

肥満について

近年、PCOSはインスリンと関連しているものと考えられています。インスリンとはすい臓から分泌されるホルモンで、食事で摂った糖(グルコース)を体のエネルギーにするものです。PCOSではインスリンの分泌量が過剰になったり、分泌されたインスリンが正常に働かなくなることが多く、そのため体重が増えたり、減量が困難になる傾向があります。そして、こういった傾向がある人は肥満になりやすくなります。また、月経異常や男性化にも影響があるのではないかとも言われています。


しかしまだわからないメカニズムもあり、現在研究が進められているのが状況です。

不妊について

多嚢胞性卵巣の7割の女性は排卵に問題をおこすため、不妊症になる可能性が高くなります。

多嚢胞性卵巣症候群の診断

PCOSの診断は、


  • 血液検査
  • 卵巣の超音波診断(エコー)

によって行います。

血液検査

血液検査では血液中のLHとFSHホルモン濃度を調べます。多嚢胞性卵巣症候群の人はLHがFSHより多い(正常のときはFSHのほうが多い)という特徴があるためです。男性化徴候の原因でもある男性ホルモン(テストステロン)もしばしば増加しています。

卵巣の超音波診断(エコー)

卵巣の超音波検査では、通常卵巣内に1つしかないはずの卵胞が、たくさん見られます。


多嚢胞性卵巣症候群の超音波診断画像
参考文献:
不妊治療ガイダンス第3版より引用

多嚢胞性卵巣症候群の治療

PCOSの原因はまだ良く分かっていないため、根本的な治療法はありません。よって、症状の種類や程度、年齢、妊娠の予定などを考慮し、その人に合った治療法を選択します。


さしあたり妊娠の希望がない場合、月経を周期的におこすような治療を行います。これには、カウフマン療法とよばれるホルモン療法や、低用量ピルなどのホルモン剤を使います。


関連記事:
カウフマン療法
http://www.ikujizubari.com/Words/kaufman.html
低用量ピル一覧
http://www.cocokarada.jp/medicine/freeword/index.jsp?pilbookno=125100


妊娠を希望する場合、PCOSの治療には手術療法と薬物療法の2つの方法があります。

手術療法

腹腔鏡で卵巣の表面に小さな穴をたくさんあけ、自然に排卵しやすくします。この方法のみだと自然に排卵する率は20%とやや低率ですが、排卵誘発剤(クロミフェン、FSH)を併用した場合の妊娠率は高くなり、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生率は低くなります。しかし、半年ほどするとまた元通りになってしまい、手術効果は半年〜1年しか持続しないという点も考慮しなければなりません。

薬物療法

排卵を起こすために、経口の排卵誘発剤(クロミッド・セキソビッド)を服用したり、FSH-hCG療法という排卵をおこすための注射薬(ゴナールF・フォリスチムなど)を用いて治療を行います。また、PCOSの患者さんは排卵誘発を行ったときにいくつもの卵胞が同時に育つため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とよばれる副作用をおこしやすい傾向があるので注意が必要です。

関連記事:
OHSSについて
http://babycometrue.com/basic/kusuri/index.php


また、最近の研究で、インスリン抵抗性改善薬であるグリコラン(メトフォルミン)という、これまで糖尿病の患者さんに使われてきた薬がPCOSなどの排卵に問題がある女性に効果があることがわかり、使用されるようになりました。


PCOSの患者さんはインスリンが分泌過剰になる傾向があるため、卵巣内では男性ホルモンが過剰に分泌し、排卵が障害される一因となっています。インスリンが直接卵巣に作用して、卵巣内の男性ホルモンの産生を促進する働きがあるためです。よって、この薬をPCOSの患者さんに投与すると、血中のインスリン濃度を低下させ、卵巣や副腎での男性ホルモンの産生を抑制、排卵を改善する効果があると報告されています。

最後に

これまで様々な治療法を紹介してきましたが、PCOSはホルモンバランスの乱れによって起こります。偏った食生活、ストレスや睡眠不足といった現代生活の傾向は、内分泌異常の原因となります。普段の治療に加え、こういった生活習慣を見直すことも、妊娠するための近道となることでしょう。

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