不妊治療の基礎知識

HOME > 不妊治療の基礎知識 > 薬物療法(排卵誘発)について

薬物療法(排卵誘発)について

はじめに

脳の下垂体という場所からは体の機能を調節するさまざまな物質が分泌されており、この物質をホルモンと言います。よく聞くものでは“成長ホルモン”がその例で、私たちの体の発達には欠かせない物質です。


他にも多くの物質が分泌されているのですが、不妊治療において重要なのが卵胞を成熟させる働きを持つ卵胞刺激ホルモン(FSH)と、排卵を起こす作用を持つ黄体ホルモン(LH)です。

排卵誘発剤

内服薬(クロミッド、セキソビッド)

脳の視床下部という部分を刺激することでFSHとLHの分泌を促進し、卵胞を育て排卵を起す薬です。


月経周期約3〜5日から飲み始めて5日間服用。薬が効けば服用開始から2週間程度で排卵が起こるとされています。排卵の効果も比較的弱いですが、副作用も軽いため内分泌的な理由やその他原因があまりないと思われる初期治療の場合に選択されます。


副作用としては、頭痛やお腹の張り、卵巣がチクチク痛む、といったものがあります。また、3〜4周期以上使うと子宮内膜が薄くなったり、子宮頚管粘液が減るため、逆に妊娠しにくくなります。薬の作用により、子宮内膜や子宮頚管粘液の産生に関連しているエストロゲンというホルモンをブロックしてしまうためです。


よってこの薬剤を半年以上服用する場合は主治医に相談の上、継続することが必要です。


関連記事
不妊の初期治療であるクロミフェン療法とは?
http://allabout.co.jp/gm/gc/24788/

注射薬 ゴナドトロピン療法(hMG-hCG 療法)

卵巣を直接刺激することでFSHとLHの働きを強化し、排卵を促す薬です。hMGはFSHの働きを持ち、卵巣内の卵胞を育成させます。


そしてhCGは卵胞から卵子を排卵する、LHの働きのために投与されます。


hMG投与方法は沢山の種類がありますが、だいたい月経周期の3日目〜6日目頃からhMGの投与を開始し、卵巣の反応性をみて6日間〜10日間投与します。 卵胞が成熟したら今度はhCGを投与して排卵を起こします。排卵率は90%以上。妊娠率は20〜40%くらいですが、流産の確率も高いといわれています。


また、内服薬と比較すると強い排卵誘発剤ですので、副作用も強くなります。注意すべき副作用としては、多胎の発生と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。

GnRHアゴニストとGnRHアンタゴニスト

これら2つの薬剤は、脳の下垂体からLHとFSHの分泌を抑制する働きをもち、体外受精(IVH)を行うときに用いられます。体外受精では、卵の熟成から採卵までをすべてコントロールして行なわれるため、LHとFSHの分泌を抑制することで、卵子の気まぐれな成長や排卵が起きないようこれらの薬を使います。

GnRHアゴニスト製剤(点鼻薬:スプレキュア、イトレリン)

点鼻型のスプレータイプで投薬が容易にできるという利点がある半面、効能の持続時間が8時間程度しかないため、1 日3 回使用しなければならないというわずらわしさがあります。使用方法には “ロング法”という前周期の黄体中期(月経前)より使用を開始する方法と、“ショート法”という当周期の月経1〜2 日目(月経後)より開始する方法とがあります。


ショート法は、自分自身のホルモンの働きと、排卵誘発剤の働きの両方を使って排卵を起こします。卵巣の働きがいまひとつで、できる卵子の数が少ない場合、ロング法より多い数の卵子が育つ可能性が高いのがメリットとなります。しかし、排卵を抑制する薬を使う期間が短いため排卵をコントロールしにくく、採卵の際には既に排卵してしまっているというケースも否めません。逆にロング法は、薬を使う期間が長い分、コントロールしやすいことがメリットとなります。

GnRHアンタゴニスト製剤(皮下注射薬:セトロタイド)

GnRHアンタゴニスト(セトロタイド)は2006 年の秋に発売されたばかりの、まだ新しい薬です。自然周期やクロミッド周期でも一緒に使うことができるため、卵子をコントロールしやすく、より確実な採卵ができるようになりました。注射薬なので痛みを伴いますが、効能の持続時間が約30 時間あり、1 日一回の投与で済みます。そして、効果がすぐに現れるため、GnRHアゴニストのように長い期間投与する必要がありません。そのため、下垂体の回復も早く、OHSS の発症も少なく、卵巣刺激にかかる総費用も抑えることができます。海外ではアゴニストに比べて卵子の質が改善したとの報告もあるため、妊娠率の改善が期待されている薬剤です。


セトロタイドについての詳細はこちらの記事にて。
注目の新薬「セトロタイド」
http://allabout.co.jp/children/sterility/closeup/CU20061016A/

副作用について

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵誘発剤を使うに当たって知っておきたい副作用が“卵巣過剰刺激症候群(OHSS)”です。hMG 製剤などで卵巣が過剰に刺激され、出てくる様々な症状のことをいいますが、胞が多数発生し、卵巣全体が大きく腫れあがってしまう症状と、血管内の水分が血管の外に出てしまうために起こる腹水が二大症状となります。


また、OHSS になりやすい体質というものがあり、若年(35 歳以下)、やせ型、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、OHSS の既往(以前OHSS になったことがある)などが当てはまると発生の確率が高くなります。


そのため、これらに当てはまる方はOHSS になりやすいかもしれないということを、頭の片隅に残しておくと良いでしょう。しかし、専門の先生によると、OHSS は副作用ではあるが、妊娠しやすい状態でもあるとのことです。


OHSS の起きるぎりぎりのところまで卵巣を刺激することが、妊娠への近道だという考えからです。よって、不妊症治療においてあながち悪いとばかり言っていられません。一番怖いのは不妊をよくわかっていない不勉強な先生のところで、自分がOHSS になりやすい体質ということを知らずに排卵誘発を受けた場合です。ですから、できる限り専門の先生の所での排卵誘発をおすすめいたします。


関連記事
多嚢胞性卵巣症候群、その症状について
http://allabout.co.jp/children/sterility/closeup/CU20040824A/
多嚢胞性卵巣症候群なあに(2)
http://allabout.co.jp/children/sterility/closeup/CU20040827A/index.htm

多胎妊娠

もう一つ、不妊治療に代表的なのが、排卵誘発剤の副作用である多胎妊娠です。多胎がなぜ副作用、と言われる方もいることでしょう。実は多胎は2つの側面で副作用と言われております。まず、子供の数が多ければ多いほど妊娠中毒症や切迫早産といった合併症の危険性が飛躍的に上昇します。


また、生まれてきた赤ちゃんは未熟児、低体重児、呼吸障害などを伴い保育器での長期間の管理の必要性があるケースが多くなります。2 つ目にもし無事に生まれたとしてもその後の経済的問題とケア的問題というものが発生してきます。


よって産婦人科の先生は、双胎(ふたご)まではOK ですが、それ以上になるのは避けたいと考えております。そのため、現在ではIVF(体外受精)の際には、受精卵を子宮に戻す数が3個までという決まりがあります。


妊娠率を維持して、なおかつ多胎を最小限度に減らす、というぎりぎりの線が3個という数になっているからです


関連記事
ドクターが双子妊娠を避ける理由
http://allabout.co.jp/children/sterility/closeup/CU20050313A/index.htm

Supporter

田村秀子産婦人科 ASKAレディースクリニック みむろウィメンズクリニック

What'sNew

Cooperator

サクロ屋 Nature'sGift

AD info

ああ不妊治療

Link

AII About Fine リーベマリール